MacBSDゴーゴーゴー

以前、雑誌に連載していた文章です。店のPRではなく、情報公開の一環です
・自分のことを認めてほしい
 人は、生まれてから死ぬまでに、一度や二度は、うかばれない悲哀を味わうものだ。
 たとえば、小学校時代は勉強できた、スポーツ万能、という人でも、中学でややあやしくなり、高校を出るころには、授業にはついていけず,昼間はもっぱら居眠りで過ごし、そのかわり、掃除をさぼる回数と、遅刻の回数では抜群になったが、けっしてうかばれているというものではないというケースだ。社会人になってからは!もう目も当てられない。
 まあ、よくある話である。あの過去の栄光はなんだったんだ、え?あなたにも見覚えがあるはずだ。
 いや、ぼくは、68kMacがそういう存在だなんて決して言うつもりはない。しかし、いまや置物と化した68kMac群を他の家族が見て見ぬ振りをするのを自分も知っていながら、なおも新機種を購入してしまうというのもつらかろうというものだ。この道楽者!
・68kMacが家庭内LANで大活躍する
 最近、MkLinuxとか、MacBSD(NetBSD for mac68k)とかいうUNIXライクOSがブレークしている。その証拠に、書店に行くと、何冊もの新刊が並べられている。
 68kMacでも、X-Windowを動かさず、CUIベースで使えば、LAN内で最も重要なDNSサーバーやファイルサーバーの大役をまかせることができる。しかも、フリーソフトウェアオンリーでのサーバー構築が可能だ。フリーとはいえ、泣く子も黙るほどの高機能、高パフォーマンスときている。ヨダレが出ないわけがない。
 と、いうことで、ぼくもやってみた。参考書籍は(他社だが)、広文社刊の「MacBSDネットワークサーバ構築ガイド」(三浦一則氏著)である。これには、NetBSD for mac68k 1.3を収録したCD-ROMが付属している。
・ハイブリッド68kマシン
 ぼくが、今回、MacBSDのインストールに使ったマシンは、カラークラシック2をVGA解像度に改造したものにLC575のマザーボードをさし、CPUは68040という、あんまり見かけない機種だ。
 どさくさにまぎれて進言する。iMacもよいが、こういうコンパクトな一体型がもう一度出ることを切望する。
 ネットワークインターフェースカードはREUDOのRE-ETLC/Tを使った。このカードはMacBSDでちゃんと動いた。
 ハードディスクは、内蔵の160メガは今までどおりMacOSで使い、外付けにSCSIの1ギガをつないでMacBSD専用にした。
 なお、なぜか、ぼくが持っている68kMacはどれもLCPDSの機種である。
・インストールは超簡単
 前述の参考書籍に付属のCD-ROMを使えば、インストールは簡単だ。DOS/V系マシンにFreeBSDとかをインストールするのと違って、MacOSのGUI上でハードディスクのフォーマットやパーティション設定ができるので、ずいぶんと楽だ。インストーラもMacOSから起動する。
 ぼくがハードディスクのパーティション設定に使ったのは、FWBのHard Disk ToolKit。これにはUNIXのパーティション設定を簡易に行う機能があり、外付けの1ギガHDD全体をUNIX用にした。
 なお、UNIXでは、ハードディスクを特定の用途別にパーティション分けするのが普通である。パーティションの分け方については、最初はとまどうものだが、Hard Disk ToolKitにまかせれば、悩まずに作業は終了する。
 これから、UNIX用のパーティションを作成したい人は、手持ちのフォーマッタをチェックしてみよう。
 インストールには数時間という長い時間が必要だ。これだけ長いと、なんと、インストール完了だけで感激できるのである。世界は広いから、インストールの間に我が子が生まれた人もいるのではないか。それほどに長い時間である。
・ブート!
 インストールが完了したら、ブートだ。ブートはMacOSからBooterを起動して行う。
 ここで、気をつけるのは、ブートメニューの「Video address hack (for LC575 & 475?)」のチェックだ。ぼくのマシンの場合は、ここをチェックしておかないと、起動できなかった。
 起動したら、さっそくrc.confを書きかえる。UNIXについて何も知らなくても書籍どおりに書きかえればOKだ。キーボードオンリーのエディタ操作(カーソルキーさえも使えない)は残酷物語だが、最初の壁さえ越えれば後はなんとかなる。
 ブートが成功したら、そのマシンからメールを(LAN内で)自分宛てに出してみよう。メールサーバーのsendmailは最初から稼動しているはずだ。
・サーバーソフトの怒涛のインストール
 OS本体がインストールできたら、あとは、各種ソフトのインストールだ。すべてフリーソフトウェアなのだから驚嘆する。
 まずDNSまわりを設定する。LAN内のローカルなDNSサーバーでも、hostsファイルでの名前解決を使うより、何かと便利だ。
 次は、squid。これをインストールしてブラウザからプロキシサーバーとして参照すると、WWWキャッシュとして使える。キャッシュ容量はデフォルトで100メガもある。これでスピーディなWWWアクセスができるようになる。感謝感激である。
 おつぎは、samba。これをインストールすると、Macintosh、Windowsの両方から認識できるファイルサーバーになる。MacintoshとWindowsの橋渡しをしてくれるわけだ。これで、ファイル交換も楽チン。
 sambaはサーバーとしてのパフォーマンスも良好でキレがいいし、サーバー領域を自動的にマウントさせることができるから、FTPサーバーを使うのなんか目じゃないほど簡単にアクセスできる。うれしくてサンバでも踊りたいくらいだ。
 そして、apache。いわずとしれたWWWサーバーの標準ソフトである。これで、プロバイダと同等のWWWサーバー環境を獲得できたわけで,CGIのテストを他人にめいわくかけずにいくらでもすることができる。応用として、家庭内ポータルサイトを構築してもよい。パフォーマンスも実に良好だ。
・最後に
 いやあ、オールドな68kMacがこれだけ働くようになるとは思ってもみなかった。最初、なんだかわけがわからないままにインストールしたので何度も失敗し、ここまでの作業に2週間を要してしまったが、インストールだけで楽しめることうけあいだ。マゾヒスティックな快感に酔うことができるだろう。とはいえ、正直言うと、ちと、苦しかったが。
 MacBSDをインストールするときは、十分な時間を確保し、やりすぎないよう健康には気をつけよう。
 なお、参考書籍は、できるかぎり多く購入しよう。何かの壁にぶちあたったとき、切り口の違う説明を読むと、疑問が解決しやすいものだ。また、WWW上にもMacBSDの参考になるテキストはゴマンとある。これからトライするなら、利用すべきである。