以前、雑誌等で発表した文章です。店のPRではなく、情報公開の一環です ・<第1章:発端>
今日、ぼくはプリクラを体験してきました。家から、車で、あまり遠くないところにゲームセンターがあるのです。
けっこう、明るいゲームセンターで、家族連れや、小学生もよく来ています。まあ、暗い感じのゲームセンターにも小学生はいるのですけれども。
先客がいたらいやだなあと思っていったら、駐車場で女子中学生の3人組を見かけました。一瞬、ああ、あの連中が先客かもしれないなとおもいました。両替をして、プリクラの前に行くと、やはり、さっきの女子中学生3人組が先にプリクラしていました。まずいよなあ。しかたないので、待つことにしました。
ベンチにすわって待っていたのですが、中学生はなかなかポーズが決まらない。いったい、何をやっているんだろう。ぼくは、のぞきこむことにしました。すると、プリクラの画面の上の方に画用紙に書いた、”秋の隠しフレーム”という張り紙が目に入りました。4種類の裏プリクラが書いてあります。フレームというのは、プリクラの写真のまわりのふちどりのデザインのことです。ぼくは、”隠しフレーム”なのに、なんで、公開しているのだろうと不思議に思いました。
中学生たちは3人で騎馬戦のような格好をしたり、肩を組んだりして、なかなかポーズが決まりません。そのとき、急に、そういえば、プリクラの操作がわからんなあ、などと不安になりました。そこで、また、横からのぞき込むことにしました。
キャンセルと決定/プリントというボタンと、右矢印と、左矢印の合計4つのボタンしかありません。ますます、不安になりました。うまく使えなかったらどうしよう。これは、中年男がハイテク機器を前にして必ず感じるであろう不安感です。
で、中年男が横からのぞきこんでいるにもかかわらず、少女たちは画面に向かってVサインをしたり、おしくらまんじゅうみたいなことをして盛り上がっています。かれこれ、10分もそうしていたでしょうか。相手も、こっちに気づいたようで、というかさっきから気づいてはいたようですが、やっとスピードアップし始めました。で、1枚取り終わって、もうおわりかなと思っていたら、今度は2枚目です。ぼくは、がっかりしました。
でも、2枚目はすんなりいきました。これで終わりかと思って、喜びました。
しかし、少女たちは3枚目に行きました。考えてみれば3人で来たのですから、3枚とるのは予想されることだったのです。
取り終わった少女たちは、なぜか、ジャージのおしりをさわりあったりしています。なにかおかしなことでもあるのだろうかと、ぼくが、彼女らのおしりのあたりを見ていると、一人の少女と目がばっちり合ってしまいました。
気まずい一瞬でした。それにしても、けったいな女の子たちだな、早くどいてくれないかな。ぼくはただ横からのぞいているだけのオヤジであり、プリクラの客とは思われていないのかな。などと、気まずくも、いらいらしながら考えていました。
ようやく、少女たちはプリクラから離れてくれました。3人のうち、1人の少女が、ぼくに目で”どうぞ”という合図をしました。ぼくも、目で”どういたしまして”と返事をしました。
・<第2章:撮影>
やっと、ぼくの番です。ところが、案の定、操作方法がわかりません。で、まあ、矢印キーを押すとフレームが選択できるのだろうということでなんどか押しました。最後に決定を押しました。すると、さらに、フレーム選択画面になりました。どうやら、より詳しい選択画面になったようです。はっきりいって、面倒です。で、決定を押しました。押しても何もおこらないような気がしたので、機械がおかしいのかと思い、何度か押しまくりました。すると、突然、画面は印刷中になり、キャンセルを押してももどりません。観念して待っていると、下を向いたぼくのプリクラが出ました。ああ、がっかり。ボタンを押しまくっているとき下を向いていたのがまずかたのですね。まいったなあ、と思いまして、もう一度、チャレンジすることにしました。
今度は、まあ、スムーズに行きました。少なくとも、前を向いて撮ることができました。でも、前のどこをむいたらよいかわからなかったため、なんか、視点のさだまらないようなプリクラになってしまいました。
・<第3章>プリクラを取り終わって
ふと、まわりを見たら、後ろにずらっと10人近くの女子高校生らしき一団が並んでいました。彼女らの目は異端者に向けられています。失敗した上、ひとりで2枚もとってしまったオジンの顔に容赦ない視線があびせられます。まるで、場所をわきまえろ、とでも言われているような気がしました。 これが、ぼくのプリクラ体験記です。
・<第4章>交換
いよいよ、プリクラの交換です。大学ノートにでも貼り込もうと思います。 あとは、後日。 なお、このエッセイは読み捨ててしまってけっこうです。よく、あったじゃないですか。「この手紙を読んだらやぶりすててください」って。つたのからまるチャペルで過ごした、学生時代のラブレターのひとつの定型句ですね。これは、ラブレターじゃないですけど。
(1996.11.15)
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