クムドールの剣うなる

以前、雑誌に連載していた文章です。店のPRではなく、情報公開の一環です
●君はフライングカラーの現代音楽を聴いたか
 ピポパポペポパポペポ.言葉では表現できないけれど,イメージとしては現 代音楽という音楽がパフォーマの周辺から聴こえてくる.パフォーマってホント ,陽気なんだから.
 「こわいー」
 明子(4歳)が遊んでいるのはフライングカラーである.このお絵かきソフ トはスタンプのデキがいい.精妙なデザインが特徴だ.また,カラーサイクリン グといって,パレットをサイクルさせることで火の玉の炎がゆらめくような効果 を出したり,グラデーションが回転するような効果を出しているのも特徴.
 さきほどの現代音楽は,このフライングカラーが出している音だったのです な.子ブタがマウスでスタンプの位置決めをしているときもさかんに音を出して います.歌いながら絵を描くなんて,君,陽気やね.
●恐怖の火遊び少女出現
 「あー,山が焼けちゃった」
 キッドピクスでも同じですが,子ブタもまずは,画面の消去で遊んでいます .とくに,明子の場合は,画面中を火の玉が埋めつくす画面クリアがお気に入り のご様子.
 画面クリアには他にもいろいろな種類があって,ドラムとシンバルの音とと もに画面がクリアされるやつなんか,ぼくは気に入りましたね.
 「このさかな,おっきいよー.」
 スタンプは大きさを変えることができる.
 「うえー,大きいとおそい.もうちょっと速くできないかなー.わー,海が 燃えちゃった」
 また,火の玉画面クリアである.
 「絵はこれしかないのね,どれでもいいからやっちゃいましょ.おー,さば くだ.」
 フライングカラーはできあいの背景を選んでそこにスタンプを押すことがで きる.
 「あー,また燃えちゃった.さばくが燃えたー」
 画面を燃やしたいために絵を描いているのか.君は!
 「じゃー,宇宙にしよっと.宇宙なら燃えないし.わー,燃えちゃった.宇 宙が燃えたー」
 あのねー.君は火遊び少女か?
●子ブタにとってキーボードは不要か
 キーボード,これって,子ブタたちにとっては,なんでついているんだかわ からない不思議な装置にちがいありません.彼らにとって,キーボードで意味の あるスイッチはパワーオンキーとコマンド+Qキーとテンキーぐらいのもんでし ょうな.
 ほかのキーはあるだけ無駄っつうわけで,わが家ではパフォーマのキーボー ドは机のすみっこによせられているわけです.かわいそうに,
 実際,彼らはキーボードで意味のあることをしたことがありません.たとえ ば,お絵かきをしてファイル名を入れるときも健次郎(7歳)は数字と記号で意 味不明なファイル名を付けています.
 ま,パフォーマを使い初めて1年以上がたつというのにいまだにマウスいっ ちょうで操作できてるってことは,いかにパフォーマ(マッキントッシュ)の操 作性がいいかってことなんでしょうな.
●いよいよ小学校にもパソコンがはいるらしいぞ
 どうやら,信太郎(11歳)と健次郎が通っている小学校にもパソコンが入 るようです.
 先日,ぼくが授業参観に出かけたとき,理科室のとなりのがらんどうの部屋 に,白いパソコンデスクが大量に設置してあるのを目撃しました.それで,そろ そろパソコンが入るらしいと推理できました.
 しかし,床がグレイのビニールタイルで,机が白っぽいベージュ.なんとな く,光をすいこんでしまうような,時間がとまってしまうような,そんな不思議 な地味さのある部屋でした.一歩間違えば,死体安置所とか,病院の手術室とか を連想させる,そんな部屋でした.言い過ぎかな.
●先生からの年賀状
 信太郎あての,先生からの年賀状に,”こんどパソコンが入ったら教えてね ”という内容の文章が入っていました.うーん,パソコンの機種がなんだか知り ませんが,教えるってのはどうですかねえ.こいつは疑問符.
●キーボードのマスターに挑戦
 NECの98というパソコン用のゲームに,遊んでいるうちにキー入力を覚 えてしまうという『クムドールの剣』というのがあるのは知っていました.それ のマッキントッシュ版が発売されたのでさっそく使ってみました.いやあ,遊ん でいるうちにキーボードが覚えられるのならいいですよー.
●クムドールの剣はRPG
 最初は地味だと思っていたこのゲーム,そこはさすがにRPG(ロールプレ イングゲーム)ですね.やりだすとやめられないのか,たちまちのうちに,子ブ タたちは,はまりまくってしまいました.
 RPGはご存じとは思いますが,おおざっぱに言うと,リアリティのある架 空の世界で謎を解いたり敵と戦ったりしてゲームの主人公を成長させ,与えられ た目的を遂げるというゲームです.32ビットゲームマシンが登場した今となっ ては,RPGやアドベンチャーゲーム,シミュレーションゲームはパソコンにと って重要なゲームジャンルですよね.
●最初はとっつきにくかった
 『クムドールの剣』はなかなかよくできています.最初は地味に見えたし, どうやって遊ぶのかがよくわからなかったしで,第一印象はよくなかったのです が,そういうところも,実はパソコンRPGの原点的でよいところだったりしま す.
 ゲームでは,まず,ゲーマーの希望を託した主人公に,ドラクエ風の2次元 的広がりの中を歩き回らせます.ぶらぶらしていると「おまえー,こんなところ で宿題もやらんでぶらぶらして何やっとんのじゃー(これは,ぼくの想像.こう 言っているんじゃないかと.)」とモンスターが登場します.敵のモンスターと 出会ったら表示されるキーを正しく打つことでモンスターと戦うことができます .制限時間内にキーを打ち終わらないとこっちがやられてしまいます.
●必殺,でたらめキー乱打作戦
 「よし,でたらめのキーを打っちゃえ.」
 子ブタの中でもっともドラクエ派の信太郎がとびついて遊んでいます.ちょ うど今,画面に表示される文字のキーをさがすことができずにパニックにおちい った信太郎が爆発したところです.
 「おー,でたらめに打っても敵にダメージを与えた」
 でも,こっちはもっとダメージを受けているんですけど.
 君もこのゲームをまっとうに遊ぶことでキーボードをマスターすれば,マウ スの操作はとっくにできてるし,プルダウンメニューも使えてるから,学校で先 生にパソコン教えることができるぞ.って,これ,本当かな.
 「ライフが1以下だとセーブできないって!げー,そんなのありかよ.」
●データのセーブは高度な概念だと思ふ
 「あのワープロ(パフォーマのこと),ゲームを始めるとまた最初からにな っちゃう.パフォーマを消しちゃっていいの?」
 これは,先日までの信太郎の発言です.彼は,『クムドールの剣』を遊ぶと いつも最初からになってしまって,前回の続きから遊べないと文句を言っていた のです.
 ぼくが思うに,ゲームのデータの保存というのは,時間データの保存,状態 データの保存,運動データの保存,こういった種類のデータを保存するわけです から,絵の保存のように静的なデータ保存とはまた違った高度な概念なのだと思 いますが,みなさんのご意見はいかが?プログラム内部でやっていることはゲー ムもお絵かきも同じセーブ方法なのでしょうけどね.
●キーボードのマスターは遠し
 「すごいんだよ,クムドールの剣.」
 健次郎が,信太郎のゲームの成果を報告に来ます.次男ですからねー.お兄 ちゃんの存在には敬意をはらっているというわけでしょう.
 「どうして?」これはぼく.
 「だって,7スパイスになったよ.キーも買ったし.」
 『クムドールの剣』では,町の専門店でキー(ばら売りされている)を買う ことになっていて,キーを買わないとFとJのホームポジションのキーしか受け 付けてくれないのです.買えば,そのキーの入力を受け付けてくれるようになり ます.
 でもさー,7スパイス?これがいかに少ないかは,やったことある方ならお わかりでしょう.
●その後の『クムドールの剣』
 信太郎と子ブタたちが『クムドールの剣』に熱中しているさまは,お わかりと思います.特に,キーボードをタッチタイプしているようすをご覧くだ さい.打てるのはFとJだけですけど.
 「おとうさーん,あれ,世界選手権に出るくらい速く打たないと,攻撃でき ないよ」
 それはオーバーなんじゃない?
●ウルフェンシュタイン3D。こんなところに秘密の壁が?
 「おとうさん,ここを押すと秘密の壁がゴーって開いて宝物が出るんだよね」
 家族でラーメンを食べようと店に入って座敷に座るやいなや,健次郎(7歳)が背後の壁を押しながら言います.一見ただの壁に見えるこの壁にそんな秘密があったのかい,健次郎君?
 そう,実はこれ,パフォーマで遊んでいるゲームの影響なのです.その名も『ウルフェンシュタイン3D』.子ブタたちには発音できないような変な名前のゲームです.
 ウルフェンシュタインというと,アップル2(マッキントッシュの前にアップル社が力を入れていたパソコン)で遊んだゲームにキャッスルウルフェンシュタインというゲームがありましたが,それと雰囲気が似ています.
●ウルフェンシュタイン3D
 新しいゲームをパフォーマに入れて欲しいとせがんでいた健次郎にとって,その日はハッピーだったに違いありません.『ウルフェンシュタイン3D』という3Dゲームソフトのお試し版がインストールされたのですから.
 明子「あー,死んだ」
 健次郎「死んだ,死んだっていうなよなー」
 そりゃあ,言えてます.まあ,さんざん死んでしまうので,この辺で必勝法を考えたのか,健次郎はドアをあけるとさーっと後ろに下がってしまいます.敵がドアを開けて出てくるのを待って撃ち殺す作戦のようです.しかし..
 明子「あー,死んだー」
 健次郎「うるせーなー.死んだ,死んだってさー」
 ここでゲーム画面の大きさを320かける200に変更.このサイズならばパフォーマでも3D空間がぴゅーぴゅー動きます.小さな画面内をちょこまかと動く敵を見て,ぼくたちはみんなで大笑いをしたのでした.
●兄にウルフェンシュタインのすばらしさを伝授する2人
 大笑いの声を聞いてやってきたのが信太郎(11歳)です.
 健次郎「しんちゃん,おとうさんが新しいゲーム入れてくれたんだよ」
 明子「ワープロに入れてくれたんだよ」だからさあ,パフォーマだってば.
 信太郎「おー,おもしろそう」
 ここまでの話しだけでおもしろそうだと判断するには情報不足だと思うのですけど.
 明子「宝箱まんちん取りごっこゲームなんだよ」
 絶句!しまった,ゲームの名前を教えるのを忘れていた.それにしても,もう少しマシな名前を考えんかい!
 健次郎「レベル3に,青くってさ,強いのがいるんだよ.ババババって撃ってさ」
 明子「そう,デブがいるんだよ.超強い.」
 そいつは,いくら子どもでも,使っちゃまずい用語だぞ.
 健次郎「それでさ,死んじゃうんだよ」
 明子「超強いデブがいるんだよ」
 だから,デブ,デブって言うのはやめようよ.
 信太郎「おー,おもしろそう」
 明子「デブがいるんだよ,デブ」
 わからんなー.君たちの会話は.